感想ノート

観劇の感想など。一部ネタバレしてます。

また、いつか。

もう2年も経つのだけど、普通に名前をだしてもいいのだろうか。私は上鶴徹さんのファンである。普段は現在一般人として暮らしてるであろう彼を慮って、大っぴらに名前を出すことを控えているけど、なんだか、どうしてもいま、私は上鶴くんのことが好きだと声を大にして叫びたいので、上鶴くんの話だと宣言して、話したいと思う。

 

きっと知ってる人も多いかと思うが、上鶴くんは2年前の12/1に事務所を退社すると公式ブログで発表し、そのブログと事務所の公式サイトでのコメント以外には、特別ファンへ向けてのメッセージなんてものは出さず、さらりと姿を消した。引退かどうかの明言もなかった。(そのときは大人の事情で出せないのだろうと思っていたが、その後辞めていく子たちがファンへの思いをいろんな術で伝えているので、根に持っている。)

その発表を私は会社のお昼休みに見て、何がなんだかわからなくなって、とにかく涙が止まらないまま仕事をしたけど、全然仕事にならなかったので、早退してそのまま表参道のWESHOPへ12月のブロマイドと来年のカレンダーを買いに行った。

カレンダーは、念願のソロカレンダーだった。ソロカレンダーといっても、大判ブロマイドのようなもので、事務所のメンバーみんなそれぞれ出すのだけれど、個人のカレンダーが出るって聞いたとき、なんだかとても嬉しくて、そのときは来年も楽しい1年になりそうだなんて思って浮かれていた気がする。

泣きながらやっとのことでたどり着いたWESHOPは、今日メンバーが1人辞める発表があったなんて思えないくらい、いつも通りで、さっきの残酷な発表は夢なんじゃないかと思った。お会計を終えたあと、いつもは無愛想なお姉さんが、元気出してくださいねと声をかけてくれて、ああ、やっぱり夢じゃなかったのかと、また泣き、帰路に着いた。

家に着いてからも、なんだか、どうしたらいいかわからなくて、とりあえずブログのコメント欄やツイッターをぼんやり見ていた。コメント欄やツイッターには、引退と明言はしてなかったけど、彼は引退するのだと思っている人もたくさんいた。

「今までありがとう」

「これからの人生も応援してます」

「上鶴さんが幸せなら私も幸せです」

「ずっと大好きです」

たしか、こんな感じの優しい言葉がたくさんたくさん贈られてた。私は冗談じゃない、と思った。

ほんの1年前、自分はいつも舞台の上にいるから、仕事などで来れないときがあっても大丈夫と言ってくれた。ファンが喜んでくれるだろう発表を控えていると言っていた。なのに、なんでこんなことになったのだろうと何度も繰り返し思った。冗談じゃない。なんなんだ、この状況は、と。

私達ファンと俳優を繋ぐものは、とっても細い縁だ。俳優が舞台の上に立ってくれないと、私達は一目姿を見ることもできない。私達が客席に座らないと、彼らの俳優という仕事は成り立たない。お互いがお互いに求めるものが同じである時だけ繋がっていられる。だけど、どちらかが他のものを選んだら、簡単にこの縁は切れてしまう。私達が他の誰かや他の何かを選んだら、彼らがその職業を続ける意義を失ったら、推しとファンという関係は終わってしまう。

上鶴くんは他の職業に意義を見つけたのかもしれないと思った。その事実を受け入れて、なんなのかわかりもしない彼の第二の人生応援するのがファンというものなのかもしれないと思った。でも、できなかった。ファンだからできなかった。何年間もかけて、一生懸命繋がってきた縁を切りたくなかった。なんとか繋ぎ止めることはできないかと思って、退社までの残りの25日間、手紙を書き、ブログにコメントを入れて、ゲスブにメッセージを書き込んだけれど、何かを変えることなんてできず、2年前のクリスマス、12/25の23:59を過ぎた瞬間にあっさり公式ブログも公式サイトのプロフィール欄も消え去った。なにもなくなった。私の人生を賭けて応援したいと思っていた人は、私の目の前から消えてしまった。

 

この2年の間にD2もいっぱい事務所を辞めていって、だけど辞めたあともツイッターとかで姿を見せているのを見ると、なんとも言えない気持ちになった。それって、みんなやっぱりあの世界にいた頃を忘れられないから姿を見せるんだと思ったから。でも上鶴くんは一向に姿を見せてくれない。私は上鶴くんのファンになってから、ずっと人生が楽しくて、次の役をいつも楽しみにしていて、客席にいる間幸せだったけど、上鶴くんはそんなに簡単に舞台から降りれるくらいのものだったのだろうか。

 

そんなことを思ってしまうのはひとつだけ心残りがあるからだ。上鶴くんは16人揃ってD2として何かを成し遂げることに意義を持っていて、特に辞める1年前くらいには、全員でD2LIVEをやりたいと繰り返していた。そして、珍しくファンの声なら事務所を動かせるのだと、ファンを頼りにしているようなことを言っていた。プレゼントのおねだりもクレクレもせず、ホストちゃんでもラブを要求したことがなかった彼が。人気の子との写メをあげるのはアクセス数稼ぐみたいだと厭うような彼が。ファンの人から事務所にD2LIVEの開催を訴えてほしいとお願いしたのである。だけど、開催されることはなく、D2はD-BOYSに吸収合併されてしまった。何もしてあげらなかった。私は無力だった。もし、16人でD2LIVEができていたら、D2はD2として残されたかもしれない。もし、D2がD2のままだったら、上鶴くんはD2の一員としてなら、ずっといてくれたかもしれない。たらればでしかないけれど、そう思ってしまうことがあるのだ。

 

本当は今すぐに帰ってきてほしいと思っているし、このまま二度と会えないなんて本当に嫌だ。だけど、私の上鶴くんの1番好きなところは、誰にも流されず、自分がこうだと思うところを貫くところだから、人気絶頂期に舞台から降りて、自分の意思で他の世界に飛び込んだならそれはそれでかっこいいと思うし、さすが上鶴徹だとも思う。だけど、私は役者の上鶴徹が本当に本当に大好きだから、唯一無二だと思っているから、もしまた再び舞台の上に立つことを選んでくれるのなら、これ以上の喜びはないというくらい、嬉しい。私は、彼はどんな役柄でも、現実にいそうな共感を持てるキャラクターに変えられる素晴らしい役者だと思っているし、上鶴くんにに演じられるのを待っている役がたくさんあるはずだと思っている。演じてほしい役もたくさんある。

だから、私は上鶴くんがよく使っていたこの言葉だけを頼りに待ち続けたいと思う。だって、それしかできないから。

「またいつか、板の上で会いましょう」 

 

 

 

 

 

最後のファンへのメッセージは、

「自分の大好きなD2なら夢を追い続け、みなさんにいい景色を見せてくれると思います」

だったけれど、私の夢はいつだって、とおるくんの歩く道の先にあって、どんな作品でもとおるくんが見せてくれるものがいい景色で、どんなポジションにいたってとおるくんの立つ場所がセンターなんだよ。それだけは、知っていてほしい。私は上鶴徹のファンなんだよ。

 

 

ラディアントベイビー

面白かったも楽しかったも表現として違う気がする。共感したわけでもないし、感動して泣いたわけでもない。でも、心が震えたのは自分でわかった。そんな舞台だった。

私は舞台を観るときに、キャラクターに感情移入をするところがある。ので、観る前から勝手に、終演後には性に奔放なキャラクターが多すぎて理解不能って言ってそうと思っていた。でも、そうじゃなかった。この作品の中で描かれてたのは、周囲にいる「普通」を名乗る他人たちと何かが違う自分を自分が認めてあげるまでの過程だった。死後、キースはある一定の評価を得たし、作品の中で自分が生き続けることができたから、夢が叶ったともいえるんだけど、そんなことより、死ぬ前にキースがこうしたいと思う具体的なものが出来たことが何よりも大事なもののように感じた。自分らしく自分の道を生きているつもりで、人の評価や人の視線を気にしていたキースが、自分の意思を何よりも尊重できるようになったことに意味があるんだと思った。そして、そんなキースを抱きしめながら死んでいくクワンが本当に美しくて泣けた。この場面、自分を愛せなかったキースを愛し続けてきたクワンは、本当に美しかった。恋愛とも友情とも家族愛とも違う。ファンに少し近いんだと思う。なにか見返りがほしいんじゃなくて、惹かれて、愛してしまい、愛しているから守りたいと思った。とてもシンプルな愛情が美しかった。あと、カルロスがキースの足元でキースを看取るのが切なかった。どうやったって自分以外は他人なんだから、人とはすれ違うこともある。舞台の演出的に、カルロスと別れたあとにキースはエイズに感染したように見えたんだけど(= 不特定多数と関係を持ち続けたように見えた)、それでもキースの死の間際、カルロスが顔を見せられなくても、寄り添わずにはいられなかったのだとしたら、もう少し時間があれば、分かり合えたものがあったんじゃないかと思えた。カルロスの愛もまたシンプルだった。愛した人に愛されたかっただけ。でも、自分をなかなか愛せなかったキースは、カルロスの愛とうまく向き合えなかったのだと思う。

そんなわけで、すごくよかった。心がすっとした。ついつい、他者の目を気にして、他者の基準や感情に寄ってしまいがちだけど、自分の感情を信じて、自分が素敵だと思うものを信じて生きたいと思った。自分の人生の正解なんて、自分の中にしかないんだよね。そういう気持ちって誰かに諭してもらわないと、なかなか心の奥から出せないから、ありがたかった。

パフォーマンス的にも踊れる子歌える子が出てるから、満足。しいていうなら、歌える子多いから、大事なナンバーはシンガーじゃなくて本人に歌って欲しかったかなって感じ。ダンスは壮一くん、真央ちゃん、ごちそうさまでした…。

あと、少し残念だったのは、子役ちゃんたちが出てるから、子役志望の子とかその親とかが客層に多かったんだけど、まぁ題材が題材なだけに、上品とは言えないものを観ている中、視界に子供がいると気まずかった。映画だとたぶんR-12くらいだと思うけど…。

自分らしく生きる!と決意したのはつかの間、ブランド品を見に纏うセレブママたちを見てたら、よく女性誌とかに載っている「幸せ」の定義が脳裏にちらついて、すぐ意思が揺らいで傷ついた。なかなか自分の感情寄ることって難しい。




暁のヨナ

暁のヨナ観てきました!
六本木のEXシアターは初めてだったのですが、普段ライブで使われることが多いからか、音はなかなかよかった気がします。(アイアに慣れた耳だからかもしれない。)
あと固定席は傾斜がしっかりしてるので、後ろのほうでも全然見やすかった。見やすすぎて、珍しくあまりオペグラを使わなかったくらい。
ただ、暁シート席である前方の稼働席は少しも傾斜がありません。これは、これはどうなの…?いつものオール女性客の舞台ならともかく男性の方も結構いる舞台だったので、前のお客さんによって、下の方で何してるのか見えなかったりしました。暁シート9800円もするんですけど、特典の非売品はペラペラのシールなので、前方席確約という付加価値のために+2000円払ってる感じなんですね。なのに、前方席のほうが傾斜がなくて見えにくいとなると…、どうなんだろう。暁シートのいちばん後ろよりは確実に一般席の最前列のほうが見やすいと思う。割と広い会場だし、席によって金額が違うことが悪いと思っているわけじゃないんだけど、見やすさによって金額が違うというよりは、前の方の席に座りたい人に手数料を求めてるような感じがして、ちょっと違和感を覚えた。見切れ席に定価を払ってるときに感じる違和感に似ている。
あと、暁シートには物販優先の権利があったんだけど、個人的にはあんまり意味をなしてないように思えた。初日は優先されてはいるけど、暁シートレーンの列のほうが長かったし、2日目はそもそも物販に列がなかったような。開場前だと話は別なのかな?でも、開演前ギリギリに劇場に着く会社員のお姉さんにはあまり使えない特典なのだ…。
多分、六本木で、テレ朝が持っている箱で、箱代もかかってるし、キャストも割と揃えてるので、お金もかかってるので、チケットはこの金額なんだと思うんですが、それでもチケット代という観劇の出だしのところで、不満を感じさせないでほしいというのが本音なのです。じゃあいくらならよかったんだと言われると、独断と偏見と経験から算出すると、暁シート10800円(推しの非売品ブロマイド+パンフレット付)、一般席6800円とかはどうですかね。良い席には付加価値を、一般席にはリピートのしやすさを求めたいです。

さて、中身の話ですが、私は原作もアニメも知らず、本当にまっさらな状態で観劇したのですが、意外とわかりやすくはあった。ただ、これは私が計4回観た上に、原作を読み終えたから、最終的にそういう結論に至っただけな気もする。例えば冒頭の四龍を仲間にする流れはさすがに端折りすぎで、1回目の観劇のときは、時系列が全然わからなかった。ヨナハクスウォンの関係をメインに持ってくるのか、四龍をメインに持ってくるのか、ゲストキャラのリリやヒヨウをメインに持ってくるのか、はっきりさせるべきだったと思う。1時間45分という公演時間はテンポよく終わってちょうどいいとも思ったけど、もう少し長かったらわかりやすかったのでは?と欲が出てしまう長さでもある。2回観た後に原作を読んで、3回目に臨んだら正直少し物足りなかったので、原作ファンからしたら好きなシーン削られていたと感じてる人もいたんじゃないのかなぁ。…私はジェハが麻薬飲んじゃったとこ見たかったよ…。

と、ここまで文句ばっかり言ってるんですけど、控えめに行って超よかった。ハマった。チケットを増やした。そして原作を買った。

新垣里沙ちゃん演じるヨナちゃんは最高に可愛くて特にハクにだけ見せる甘えている姿が可愛くて、最高だったし、松下優也くんのハクを見て、本当ツンデレ演じさせると天下一品だと思った。最高に萌えた。
きたむーさんは初めて拝見したんだけど、二次元のキャラクターを演じることに慣れてる感じがした。さすがいろいろ出てらっしゃるだけあるなぁと。キジャみたいな天然で清廉潔白なイメージなかったから、そういう役もできちゃうことに驚いた。
ゼノはアニメから出てきたみたい。いつも思うけど、橋本くんって声どこから出てるんだろう。水の部族編はまだゼノの力は秘められているから、ゼノの見せ場も多くなくて少しもったいなかったなぁ。
さきさんのスウォンは、本当いちばん素敵だったなぁ。オープニングの声色だけで、何か背負っているのが伝わってきて、切なかった。ジュドさんとの絡みもよかった。ジュドさん本人もよかった〜。ちょっとイメージより年上なかんじなんだけど、最後ハクに殺されそうになっても動けないスウォン(ここのさきさんの呆然とした姿もそこまでとのギャップが大きくていい。)を連れて帰ったあとの、振り絞るように「ああいうときは戦ってくれ」と伝えるシーンがすごくいい。泣き所はここだって感じだった。泣きました。

あとは、達成さんのジェハ〜〜!!!!あんな色男の役もできるんだね〜〜!!!照れた!!!セリフの声も低く響いてていいんだけど、セリフのないところやスポットライトが当たってないところでの仕草ひとつひとつが気をぬくことなくジェハでかっこよかった。セリフのないところで、膝立てて座ってヨナちゃんやハクを優しく見つめているところがジェハそのものだった。アクションも足技の表現って難しいと思うんですけど、ちゃんと右脚に龍を宿すジェハのアクションとして成り立っていて、こういう表現が難しいものを運動神経でうまく こなせちゃうのは強みだなと思った。あとご本人もトークショーでハクを止めるシーンにこだわっていると言っていたけど、あのシーン本当によかったなぁ。私はちょっとジェドさんと対比されてるように見えた。ジェドさんは人を殺してもスウォンに生きてほしくて、ジェハはハクに生きてほしいから人を殺してほしくないように見えた。
実はすごく頑張っていたけど原作やアニメのジェハより、ちょっと若めには見えたから少し不安だった。でも、彼のブロマイドは最後のほうは終日完売だったし、贔屓目なしに文句無しの出来だったのかなって思えて嬉しい。ジェハって本当に素敵なキャラクターだから、是非またジェハ役を演じてほしいです。

ストーリーは水の部族領編持ってくるのは間違いじゃなかったとは思うんだけど、原作読んでみたら、私の萌え所と舞台の推し所は少しズレてて、それが私が観劇中に気になった違和感だったように思う。
私は水の部族領編の女の子たちの強さと男の子たちの弱さが明確に出てるところが好き。ヨナちゃんが守られるだけじゃなくて、ハクやジェハの心を救うところがいい。だから、例えば「私はあなたの百倍も早くて重い剣を知ってる」というセリフが「私はあなたよりもっと強い男たちを知っている」という言葉に変わるところは、私は言葉を選んだ人が意味を履き違えてる気がする。ヨナちゃんは別に守られたいわけじゃなくて、ハクの隣で戦えるくらい強くなりたいわけだから。そういう要所要所での違和感は少し気になった。新垣里沙ちゃんのヨナから強さを感じるだけに、セリフだけずれてる気がした。あと、そういう女の子の強さの表現をするには、リリちゃんとアユラ、テトラはアンサンブルにするレベルのキャラクターじゃなかったし、実際出番も多かったから、ちょっと立ち位置とかキャストさんの力量とかでズレを感じたかな。可愛かったんだけどね。

そんなわけでいろいろ不満も漏らしましたが、本当に暁のヨナという作品に夢中になって、原作もみんな読むくらい好きになったのは、紛れもなく舞台が良かったからだし、そういう意味では大成功だと思う。花とゆめ本誌をもう読んでないような私のようなお姉さんたちにこそ、ストライクな世界観のお話だと思うし。第三者へのきっかけ作りは成功したわけだから、今度は是非各キャラクターにスポットライト当てたりして、舞台を続けて欲しいなって思います。テレビ朝日さん次第なのかもしれないけど…。よろしくお願いしますっ!!!

雪組「るろうに剣心」

東京でチケット取れなそうだったので、ムラで観てきました。でも、なかなかチケットは取りにくかったです。雪組人気すごいですね。おどろいた。

観る前からビジュアルに関しても特に心配してなかったし、小池先生の演出だから上手くまとまってくると思っていたので、安心して観に行ったし、事実その通りでした。原作ファンの方からも中々好印象で嬉しい。宝塚が高クオリティの2.5次元物を出すことで、どんどん他の2.5次元物のクオリティも上がるといいなぁと思います。

以下、役別。

緋村剣心(ちぎさん)
ちぎさんは正統派の美人さんなのでとにかくビジュアルは最高。加えてキャラクター理解度もすごく高くて、おろ?は超絶可愛い。ちぎみゆの人気度を考えれば、きっと長期政権になるはず。ぜひ、たくさん原作物もやってほしい。軍服も見たいなー!!なんなら制服も見たいなー!!
ただ、薫より10歳以上の年上であるようには見えなかったのと、過去の心の闇をあんまり感じなかったというのは突っ込んでおきたい。これは、宝塚の薫ラブを押し出す脚本なのもあるし、私が巴役の星乃あんりちゃんラブなのもあるんだけど、もう少し巴のことを引きずってほしかったというか、剣心の心の傷を感じたかったかな、なんて。その方が、薫のまっすぐさに救われたことがわかりやすいと思う。

神谷薫(ゆうみちゃん)
私、正直薫って苦手なキャラクターなんですよ。たぶん、女が苦手な女のキャラクター。だけど、ゆうみちゃんだと嫌味にならない不思議。伯爵令嬢のコリンヌもそう。悪く言えば偽善者に見えてしまうキャラクターを、本当の善人に見せてしまうのは、ゆうみちゃんの演技力が高くて、そしてその演技力に私達観客が信頼を寄せているからだと思う。
物語の終盤、望海さんと対等に歌いあってるところも、さすがだなぁと本当に思った。全てにおいてレベルの高い娘役さん。ちぎさんはいい嫁もらいましたね。

加納惣三郎(だいもん)
正直むちゃくちゃなキャラ設定だと思う(笑)だって他の男を愛してる女を好きになって振られて逆恨みして明治政府の転覆を狙うってちょっと理由が弱い。個人的には戦争に巻き込まれて愛する女を失ったとかのほうが、剣心と重なってよかったのにと思ってしまった。でも、こういうむちゃくちゃなキャラ設定に説得力を持たせてしまうのがだいもん。アルカポネのときも思った。すこし語弊があるけど、だいもんは駄作を名作に持っていく力があると思う。声量のある歌声、ダイナミックなダンスと、意志の強そうな目。それらに引き込まれてるうちに、キャラクターにも引き込まれてしまう。ううむ、かっこいいなぁ。

斎藤一(さきちゃん)
ビジュアルは思ったよ以上にぴったり。仕草もかっこいい。特にタバコの扱い方がかっこいい。惜しむらくは声かな。もう少し、もう少し低ければ…!あと、なんか剣心と仲よさそうで可愛かった。斎藤編も観たいよね。新撰組時代についてあんまり描かれなかったから、まだまだかっこよさを出しきれてない。さきちゃん主演で斎藤過去編どうですか?だめですか?

武田観柳(しょうくん)
二枚目なのに三枚目がうまいしょうくん。今回、いちばんおいしい役だったと思う。ソロの曲は、笑わせにかかるところ日替わりなことにびっくり。しょうくんの知らない魅力、たくさんあるんだなって思った。ちなみに、赤べこで列に割り込めって、小さくズルしてるところが好き。部下に予約させればいいのに。かわいい。ガトリング撃ってたけど、全然当たってないし、背後ガラ空き。かわいい。

蒼紫様(かなとくん)
美しいね…本当美しいね…。思わず舞台写真買ってしまいました。最強最強と語彙の少ない蒼紫様。いちいちポーズをつける蒼紫様。あっさり味方になってくれる蒼紫様。上演時間と主要キャストの多さの関係で、確実に割りを食ってしまい、なんか頭の弱い子みたいになってたけど、それでも客席を夢中にさせるなにかがあった。ビジュアルがいいけど、ビジュアルだけではないと思う。スタイルもいいけど、スタイルだけではないと思う。声もいいけど、声だけではないと思う。まあ、要はぜんぶかっこいいということですな。美しさって本当に武器だと改めて思う。

雪代巴(あんりちゃん)
何を隠そう、私はあんりちゃんが好きだ。とにかく顔が好きだ。声も好きだ。笑顔も好きだ。とても好きだ。
その前提があるとはいえ、とても儚くて美しい、すごくいい巴だったと思う。剣心の頬に傷をつけるときの美しさといったら…。だから、余計に思うんですけど、ちょっと端折り過ぎだよ〜〜!!あと、今守るのは巴じゃなくて薫ひとりって歌はどうなのよ〜〜!!ここだけは、私大変気に入らないです!!なんかちがう!ちがうよ小池先生!!巴という暗い過去があるからこそ、薫という明るい未来が輝くんですよ。どっちかじゃないと思うんです。これも、せあくんとあんりちゃんで過去編やってください!

とりあえず、役別についてはこんな感じで終えておきます。
ここからは私が宝塚について思うこと。

私は宝塚がとても好き。だけど、かなりライトなファンです。入出も滅多に観ないし、ご贔屓はいるけど、ファンクラブの会員でもない。だけど、そんな私でも受け入れてくれる世界だと思っている。いつもそこにある安心感がある。多種多様なファンの方がいて、どんな愛し方でもいいんだと思える。だから、とても好き。
とはいえ、本当は影ではいろんなことがあるんだと思う。トップになれるなれない、路線に乗る外れる、あとはきっとファンの中の争いもあるんだと思う。
だけど、それでも私は宝塚が好き。劇場の雰囲気が好き。キャトルで溢れんばかりのグッズに囲まれて買いすぎちゃうのが好き。毎年部屋がカレンダーだらけになるのも好き。始発で当日券並ぶのも好き。
好きな子が路線から外れて泣く日もあるけど、退団して泣く日もあるけど、それでもずっと変わらないなにかがある。日々変わっていて、忙しない。だけど、劇場はいつもあそこにあって、いつもと同じ拍手を今日も贈れると思うだけで、胸が締め付けられるくらい愛しい気持ちになる。宝塚も変わってきていて、これからも変わっていくと思う。それでも、あの劇場の中にある美しい部分はきっと変わることはないと思う。

次は東京で宙組。たのしみだなぁ。

地球ゴージャス「The Love Bugs」

地球ゴージャスの最新公演「The Love Bugs」を観てきた。先々週。


私は基本的に箱推しは不可能だ、人間である以上必ず誰かを贔屓してしまうという認識をもっているのだが、実は以前よりアミューズに関しては箱推しに近い感情を抱いている。
なので、誰が出てようと自然と地球ゴージャスを観るようになり、アミュメンが出ている作品は極力追いかけている。そして、12月1日にAAAというチャリティイベントで五朗ちゃんと寺脇さんのイチャイチャを見て、去年はなかったけど年末にハンサムで盛り上がるのが、私の師走スタイルとなっている。
 
とはいえ、箱推しといえどやっぱり特別な存在というのはできてしまうものだ。私もなんやかんや3人ばかりのアミュメン贔屓してしまっている。
 
ひとりめは桜田通くん。私がアミュメンを幅広く愛しく思っているのは、通がアミュメンを愛しているからである。そして、通はアミュメンを愛してるのと同じくらいアミュメンのファンを愛している。きちんとそう信じさせてくれる。だから、私も通の信じるアミュメンを信じている。アミューズは最高の事務所だと信じるのである。通かわいい。ファンイベントなんとしてでも行くからね。
 
もうひとりが、通と正反対でちっともファンへの気遣いをしてくれないツンツンツンの橋本淳くんだ。通称あっちゃん。かれこれ、推しちゃん以上の付き合いとなる。まあ、彼に関しては特に「ファン」になるメリットはないと思う(笑)観に来てくださいとかあんまり言わないし、正直関係者の皆さんチケットの取り置きはお早めにとツイートした時は殺してやろうかと思った。バレンタインにスタッフの女性陣にもらったプレゼントを披露したときも殺してやろうかと思った。たぶんあっちゃんは私みたいなタイプの客は嫌いなんだと思うけど、少しくらいはこの乙女心を理解してほしい。
それでも、まぁなんだかんだでこの人の芝居は観てしまうのだ。人たらしめ。きっと、10年後もあっちゃんの芝居を観てるんだろうなと思ってる。ちなみに、あっちゃんの芝居を観るときはいまだに赤い服で行く(マジレッドだから)。あと本人は黒歴史だと思ってるだろうけど、私は彼の伊作を最高に愛している。かわいいから。
 
そして、最後が平間壮一くんだ。通称、壮ちゃん。今回の地球ゴージャスではメインキャストに大抜擢されたのだ。この話が今回はしたくて筆をとった。
 
私の中の壮ちゃんはずっとダンスがうまいちっちゃくてかわいい子だった。もちろん大好きなんだけど、それ以外の表現を見つけられずにいた。でも、ここ数年で劇的に変わったと思う。ダンスという金棒を持っているだけのただの人だった彼が、歌も演技も力を入れて鬼になろうとしている。確かに、レディベスあたりまでは歌は課題なはずだった。でもRENTでおや?思い、今回の地球ゴージャスを観て、このまま行けばミュージカルをちゃんとやっていける気がした。ミュージカルという道を選んでくれてることはうれしかった。
壮ちゃんは今でこそ大人気メンバーだけど、近い年齢の中でははるたけ、ドリタク、戸谷水田の後4番手以下くらいに位置していた時期が長かった。宝塚でいうと階段降りできるかできないかの瀬戸際あたりにいたと思う。でも、ダンスしか興味がなかった壮ちゃんが、テニミュのオーディションをすっぽかした壮ちゃんが、ミュージカルという世界に気付いて、頑張って、そしたら仕事が途切れなくなって、今アミューズの舞台でセンターに立ったのだ。原石が磨かれていく過程を目にできていることに、震えている。
 
The Bagsで彼が演じているキャラクターは、まるで壮ちゃんのこれまでをあらわしているようで、胸がいっぱいになった。羽をもがれても、彼は前に進んでくれるらしい。我々ファンも彼の決意をきちんと受け止めて、彼の新しい羽になれるように応援していかねばと気を引き締めた。 
 
そのほかの感想だが、いつも通り五朗ちゃんも寺さんがかっこいいおじさんだった。しろたんもいつも通り大きかった。ただ、蘭蘭コンビに萌えまくってた身からすると、まゆさんとしろたんがくっつく展開は落ち着かなかった。櫻子ちゃんはとっても可愛かった。猪塚氏がなかなか目立ってて感動した。対してゆうちゃんはどうしちゃったのかなと思った。バックでもいい仕事をしてるんだろうけど、探さなくても気づける位置にいてくれないとちょっとさみしい。
何はともあれ、一言でいえばやっぱり楽しかった。観る前は結構内輪ネタが多いと批判されてたけど、許容範囲だったと私は思う。五朗ちゃんの思想が色濃くでるシーンは、まぁいつものことで、いつもふむふむと思ってるのだけど、少しいつもより濃くて長かったかな。しかも今回しろたん死んでて、完全なハッピーエンドじゃないので、それもあってこうモヤモヤしたのはある。もう一回観たら、もうちょっとしっくりきたのかなぁ。うーん、でも私はゴージャスにお祭り騒ぎ的なものを求めてしまっているところがあるので、そういう意味ではちょっとハッピーエンドじゃないのは辛かったかなぁ。
 
そんなかんじです。
とりあえず言いたいのは、アミューズっていいよねと言うことと、壮ちゃん最高ってことですかね、やっぱり。

シャカリキファイトブンブン

テニミュ3rdシーズン、山吹戦を観劇してきました!最近では事前情報をチェックできていないので、前日に木村達成ブログにて、シャカリキファイトブンブンの存在を確認し、混乱しながらの観劇となりました。ちなみに、私のような鈍いタイプにはちょっと早くてむずかしかった…。要練習。テニミュサイコーセイヤーでさえ、ワンテンポずれていた私には、なかなかの試練である。ネルケさんにはシャカリキファイトブンブンへのプレッシャーで若干観劇中の集中力が下がるので、次回から難易度の引き下げを要求したい。

先に芝居外の話をしてしまうが、ルドルフ戦に続きお見送りもあった。あと、抽選でTSC会員の握手会もあるそうだ。この件について、賛否両論があるようだ。私は実は本来はこの手の類は苦手なんだけど(緊張のあまり何も声かけられないし、平日夜公演はちょっと早く帰りたいから。笑)、でも概ね好意的に受け取っている。
と、いうのも、気付いたからだ。青春時代を原作のテニスの王子様の連載とともに過ごしてきて、許斐剛とその子供たちへの忠誠心の強い私たちのようなお姉さんたちとちがい、今の若いファンは連載終了後に、この作品に出会っている。だからこそ、テニミュを永遠に続かせるためには、原作を知らない若い世代の取り込みが必須であり、それがキャストとの触れ合いなのかな、と。私達はキャラクターを通してキャストを知っていくという流れだったけど、若い子はキャストを通してキャラクターを知っていくんだと思う。その中で原作にハマって、先生に忠誠を誓う子も出てきてるだろうし、それはとても喜ばしいことである。

あとお見送りに対して思うことは、感謝しあいたいねということ。特に夜公演の終演後なんて、向こうもお疲れだし、こっちもお疲れじゃん。金曜日の死にかけの私は、たぶんいつもの3倍ブスだった。だけど、可愛いキャストさんが「来てくれてありがとうございます」と言ってくれるのは最高に来た甲斐がある。嬉しいし可愛いし肌綺麗だし、失神するかと思ったね。失神しかけたあと思ったけど、あの子達も終演後だからお疲れだよね。21時30分から1000人の客を見送って、着替えてメイク落として、おうち帰って、あの綺麗な肌のメンテナンスをするんだよ。私は化粧落としシートだけでベッドに飛び込んでも、翌日私が泣きたくなるだけだけど、あの子たちは商売道具だからね。深夜に帰宅しても、きちんとお風呂はいってクリームを全身に塗るのだろう。そう思ったら、きちんと目を見て「ありがとうございました。」と「楽しかったです。」と言いつつも、少しでも流れを止めないように、俊足で立ち去ることが大切な気がしてきた。

長くなったので、中身の感想はまたあとで書く。かもしれない。たぶんかわいいたのしいうれしいしか言えないけど。

君のいない1年間

5年間ずっと私の世界の中心にいた人が、姿を消した。
去年の今日のことだった。
今でもまだ信じられなくて、たまにブックマークから消せてない彼のブログのアドレスを押す。もちろん、開いたページにあるのは「お探しのページは表示できません」という言葉で、やっぱり本当なんだと痛感する。

彼はいわゆる「若手イケメン俳優」だった。きっと、本人はそう言われるのを心底嫌っていただろうけど。でも、事実若手俳優で顔もイケメンのほうなのだから仕方がないじゃないと私はずっと思っていた。ファンにとっては推しが世界一かっこいいのだ。

彼は2.5次元ミュージカルがここまで大きくなる少し前くらいに、そういう作品に出始めて、私はそこで好きになった。アニメのキャラクターをそのまま演じるのではなく、自分なりの解釈で、舞台でしか表現できないキャラクターを演じたいというのが、彼のモットーで、私はそういうところが大好きだった。(言葉が足らないことが多くて、たまに誤解を生んでたけど、そういう不器用なところも好きだった。)

そうやって、多くの若手俳優と同じように、登竜門と呼ばれる某ミュージカルに出演して、卒業して、少しこれまでとは毛色の違う作品に出始めて、これからというタイミングで、去年の今日、事務所を辞めた。引退は明言はしていない。でも、今日まで音沙汰はない。だけど、私は帰ってくると思っている。もちろん確証なんてどこにもないので、これは私のファンとしての第六感がそう告げているというしかない。帰ってくる。

でも、それでもこの1年間はとても辛かった。
最初の3ヶ月くらいは、関係ないのはわかっているのに、自分を責めた。

実は予兆はあったのだ。
辞める前の最後の1年は、他の事務所のイベントのゲストが1回と、自分の事務所の1週間のイベントと握手会しか仕事をしなくて、ブログは2月で止まっていた。

それにもかかわらず、実はその年の春から夏にかけて、私は初めて他の子にうつつを抜かしていた。アイドルだった。
具体的には書かないけど、握手会が頻繁にあって、すぐ顔も名前も覚えてくれるのが嬉しくて、一生懸命会いに行った。だけど、楽しいのは最初の2ヶ月だけだったと思う。会いに行けば行くほど、もっともっとと求められるのが苦しかった。周りのファンとのファンサービスを競い合うのが面倒だった。そのうち、知りたくもなかった彼のプライベートが流出した。

結局、アイドルくんに出会って半年も経たずして、私はついに限界を迎えて、ファンを辞めたのだった。ステージの上で歌う姿に惹かれただけなのに、なんでステージの下のことで悩んでるんだろうと悲しくなった。

思えば彼は、私の知る限りファンを特別扱いしなかった。ファンの名前は絶対に呼ばない。たぶん全員の名前を覚えるのは不可能だからなんだと思う。かわりに握手会のときは、みんなに「ありがとうございます」と言う。腰を低くして、目を合わせて。ブログでも私たちのことを自分のファンとは呼ばない。お客様と呼ぶ。とてもドライに見えるけど、私はそんな潔い彼がとても好きだった。ファンに優劣をつけないのが彼のファンへの愛なのだと思ってた。ちなみに、プライベートが流出したこともない。アイドルちゃんのファンは2ヶ月で苦しくなったのに、彼のファンになってから6年経った今日まで、私は彼のファンで嫌な思いをしたことがない。

彼の最後のお仕事は握手会だったんだけど、そのときはもちろんまだ事務所やめることら知らなかった。だから、ありがとうって言えなかった。ちょうどアイドルにうつつを抜かしていたので、アイドルの握手会と同じで10秒くらい喋れる気でいたら1秒しかなくて、名前も呼べなかった。たぶん、流れが速すぎて彼も何も言ってこなかった。

だから、辞めるのを知ったとき、すごく後悔した。全然1ファンである私のことなんて関係ないところでことが進んでいるんだけど、だけど、私にバチが当たったんだと思った。芸能界、なかでも彼のいた若手俳優界なんて、流れが速すぎて、確実に次があるなんてわからないといつも思っていた。だから、ひとつひとつのお仕事といつもきちんと向かい合ってきたつもりでいた。…いつもきちんと向かい合っていたかった。ずっと向かい合ってきたのに、あの握手会の日、一瞬目を離してしまった。そしたら、もう目の前にはいなかった。

彼はいい景色を見せてくれてありがとうと言っていなくなった。それは、ランキング形式の某舞台で、彼が1位になったときに言った言葉と同じだった。そのときはまた見たいと言っていたけど、今回は見たいとは言ってなかった。でも、もう見ることはないとも言わなかった。

言わなかったから、信じることにした。帰ってくる。必ず。だって彼はいつも、板の上でお客様をお待ちしていますと、私たちに言っていたから。(続けて、だから仕事や学校がある人は無理しなくていいよと言ってくれる優しい人なのだ。)

そして重い重い愛を誓った。もう誰のファンにもならないと。一瞬でも目を離したくないと思ったのだ。


というものの、とにかく彼のいない人生は暇すぎて、他に趣味もないので、結局この1年間も芝居ばっかりを観ていた。
前からのお気に入りの役者さんだったり、初めましてだったり、いろんな役者さんを観て、また観たいと思う役者さんも何人かいた。だけど、彼にしたように手紙を書く気になれなかった。他の人のファンにならないという誓いを破ったら、彼に二度と会えない気がした。
あと、誰かのファンになるのが怖かったのだ。だって、私たちファンと彼らの関係は永遠ではないと知ってしまったから。彼らが役者をやめると決意してしまえば、もう私たちはなにもできない。

そうして、今日を迎えた。


結論から言うと、壮大なことを考え、えらそうなことを誓ったくせに、私は先日他の子のファンクラブにちゃっかり入った。薄情者だと思われるかもしれない。でも、私はどうしてもその子の未来がほしかった。その子にずっとこの世界にいてほしいと思った。そのときに、自分にできることは、やっぱりお金を出すことしか思いつかなくて、それがファンクラブの会費だった。


今年も若手俳優界含め、いろんなジャンルでファンと芸能人の別れがあったと思う。その度に、多くのファンの子が私はなにもできないと泣いていた。去年の私と同じで、こっそりわかるわかると頷いていた。でも、この辛く苦しい1年で少しだけわかったことがある。いなくなっても、いた日々のことは変わらないのだ。

私の大好きな某排球漫画のなかで、某木兎さんがこう言っている。(少しも伏せられてない。)

「その瞬間があるかないかだ。将来がどうだとか、次の試合で勝てるかどうかとか、一先ずどうでもいい。目の前の敵ブッ潰すことと、自分の力が120%発揮された時の快感が全て。……まぁそれはあくまで俺の話だし、誰にだってそれが当て嵌まるワケじゃねぇだろうよ。お前の言う「たかが部活」ってのも、俺はわかんねえけど、間違ってはないと思う。ただ、もしも、その瞬間が来たら、それが、お前がバレーにハマる瞬間だ。」

ファンもそういうことだと思うのだ。
将来がどうとか、いつか辞めてしまうのではないかとか、一先ずどうでもいい。全通したりブロマイドを買ったり、手紙を書いたりして、目の前の舞台で集客力を見せつけることと、舞台上の彼を観ているときの快感が全て。……まぁそれはあくまで私の話だし、誰にだってそれが当て嵌まるわけじゃないだろうけど。「行けないけど応援しています。」も「好きだけどブロマイドはいらない」も「接触以外は行かない」というのも、私にはわからないけど間違ってはいないと思う。私にはわからないけど。だけど、私は快感を知ってしまった。某ミュージカル卒業後のある舞台で、彼が化ける瞬間を観てしまった。そして、交じり合うことはないと思っていたのに、彼とファンが同じ景色を見つめた瞬間に出会ってしまった。もうこの瞬間を知ってしまったから、もう二度と忘れることはできないのだ。脱退しようが、引退しようが、結婚しようが、その瞬間だけは事実で、誰にも侵せないものなのだ。
だから、私は他の子のファンクラブ入り、円という愛の単位で想いを伝えることを再度始めたわけだけど、1ミリも彼への想いは揺らいではいない。例え、帰ってこなくても。いや、帰ってくるけども。

長々と書いたけど、私が言いたいことは結局ただひとつしかない。
どんなにクソ事務所でも、どんなにクソ舞台でもいい。もう空の写真だけのブログでも文句言わない。ツイッターはやらなくていい。カーテンコールのあと真っ先に袖に引っ込んでも怒らない。だから、

だから、

「また、板の上で会いましょう」