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感想ノート

観劇の感想など。一部ネタバレしてます。

ラディアントベイビー

面白かったも楽しかったも表現として違う気がする。共感したわけでもないし、感動して泣いたわけでもない。でも、心が震えたのは自分でわかった。そんな舞台だった。

私は舞台を観るときに、キャラクターに感情移入をするところがある。ので、観る前から勝手に、終演後には性に奔放なキャラクターが多すぎて理解不能って言ってそうと思っていた。でも、そうじゃなかった。この作品の中で描かれてたのは、周囲にいる「普通」を名乗る他人たちと何かが違う自分を自分が認めてあげるまでの過程だった。死後、キースはある一定の評価を得たし、作品の中で自分が生き続けることができたから、夢が叶ったともいえるんだけど、そんなことより、死ぬ前にキースがこうしたいと思う具体的なものが出来たことが何よりも大事なもののように感じた。自分らしく自分の道を生きているつもりで、人の評価や人の視線を気にしていたキースが、自分の意思を何よりも尊重できるようになったことに意味があるんだと思った。そして、そんなキースを抱きしめながら死んでいくクワンが本当に美しくて泣けた。この場面、自分を愛せなかったキースを愛し続けてきたクワンは、本当に美しかった。恋愛とも友情とも家族愛とも違う。ファンに少し近いんだと思う。なにか見返りがほしいんじゃなくて、惹かれて、愛してしまい、愛しているから守りたいと思った。とてもシンプルな愛情が美しかった。あと、カルロスがキースの足元でキースを看取るのが切なかった。どうやったって自分以外は他人なんだから、人とはすれ違うこともある。舞台の演出的に、カルロスと別れたあとにキースはエイズに感染したように見えたんだけど(= 不特定多数と関係を持ち続けたように見えた)、それでもキースの死の間際、カルロスが顔を見せられなくても、寄り添わずにはいられなかったのだとしたら、もう少し時間があれば、分かり合えたものがあったんじゃないかと思えた。カルロスの愛もまたシンプルだった。愛した人に愛されたかっただけ。でも、自分をなかなか愛せなかったキースは、カルロスの愛とうまく向き合えなかったのだと思う。

そんなわけで、すごくよかった。心がすっとした。ついつい、他者の目を気にして、他者の基準や感情に寄ってしまいがちだけど、自分の感情を信じて、自分が素敵だと思うものを信じて生きたいと思った。自分の人生の正解なんて、自分の中にしかないんだよね。そういう気持ちって誰かに諭してもらわないと、なかなか心の奥から出せないから、ありがたかった。

パフォーマンス的にも踊れる子歌える子が出てるから、満足。しいていうなら、歌える子多いから、大事なナンバーはシンガーじゃなくて本人に歌って欲しかったかなって感じ。ダンスは壮一くん、真央ちゃん、ごちそうさまでした…。

あと、少し残念だったのは、子役ちゃんたちが出てるから、子役志望の子とかその親とかが客層に多かったんだけど、まぁ題材が題材なだけに、上品とは言えないものを観ている中、視界に子供がいると気まずかった。映画だとたぶんR-12くらいだと思うけど…。

自分らしく生きる!と決意したのはつかの間、ブランド品を見に纏うセレブママたちを見てたら、よく女性誌とかに載っている「幸せ」の定義が脳裏にちらついて、すぐ意思が揺らいで傷ついた。なかなか自分の感情寄ることって難しい。